ダーウィンは、冷徹なまでに論理的な人でした。
ある時、彼はその頭脳を駆使して、「結婚の損得表」を作成しました。
その結果、結婚によって失う「自由時間」「思索の時間」などを考えれば、
結婚というものは自分の人生にとって損失の方が多い、と結論づけました。
この損得表に従い、自分は一生思索と研究の道をひとり進もうと。

しかし数年後、彼はその「結婚の損得表」を破棄します。
そう、彼は恋に落ちたのです。
ダーウィンは結婚し、子供に恵まれ、幸せな家庭を築きます。

と、ここまではよくある話です。

ダーウィンが非凡なのはここからです。
当時、「進化論」の論文を書いていた彼は、
自分がやすやすと持論を曲げて恋に落ち、
結婚してしまったことに、深い「疑念」を持ちます。

理論的には、「個体」として考えた場合に、
結婚にはプラスよりマイナスの方が多い。
その考察は間違っていない、とダーウィンは考えました。
しかしながら、人は理論的には損失をもたらすような行為、
「結婚」つまり「愛」を自ら選び取る。

「クジャクの羽根」と同じだ!と彼は気づきます。

クジャクのオスがもつ優雅な羽根は、生存上の「損得」からいえば、
明らかに「損」です。重いし、動きづらいし、外敵から逃げにくい。
しかし、クジャクの羽根は、何世代かを経て、
より豪華に、より優美に進化してきた。それは、なぜか。

それは、クジャクのオスが、メスをひきつけるためなのではないか。
大きく美しい羽根でメスを誘惑し、より多くの子孫を残すための、
いわゆる「性淘汰」としての進化だったのではないか。

同様に、高度に脳を発達させ、理論的な推論を出来るようになった「人類」が、
より多くの子孫を残すためには、「結婚は理論的には損失をもたらす」という
「理性」を、破棄させる必要があったのではないか。
そうして、進化の過程で人類が身につけたのが、「愛という狂気」なのではないか。

「愛」は、そのすさまじい「狂気」の破壊力で、「理性」を打ち破り、
「理論的には損失をもたらすかも知れないが、進化のためには必要なもの」として、
「性淘汰」としての進化の過程で、人類に与えられたものなのではないか。
「愛」は、「クジャクの飛べない翼」なのではないか。

…というようなことが、この本に載っていて。

すごくこの「ダーウィンの性淘汰の理論」に今ハマっています。

この本を読み終えた後、いまは、
ジェフリー・ミラーの「恋人選びの心」に移行中。
これも、ダーウィンの理論を受けての「進化心理学」の名著で、示唆に富んでいます。
まもなく読み終わるので、そうしたら原典であるダーウィンの
「人類の進化と性淘汰」を読もうと思ってます。

ここから新しいアイデアが生まれそうな気がしていて、
なんだかわくわくしています。
そんな感じで、ぼくの2011年は、
ダーウィンで締めくくられようとしています。





コメント

redeye-yan
2011年12月12日9:45

朝から眠かったけど文章読んでて思い切り目が覚めました(笑)ダーウィン凄い…。孔雀と言えば…先日、民間の植物園的な施設でフォーゲルパークてとこに行ってきました♪花と鳥を楽しむ施設で、鳥たちはどちらかと言うと南米や南アフリカ出身とかの、デザイン的に派手な鳥たちがたくさん居て、孔雀も居たと思うし、頭に冠みたいなのがあるタイプの鳥がたくさん居ました♪まだ行かれたこと無かったらぜひ♪全国に系列施設が4〜5ヵ所くらいありまして、関東圏だとたしか…富士と掛川にあったはず…。

ぱでぃ
2011年12月16日1:50

面白そうですね!行ってみたい。昔行った伊豆の「シャボテン公園」もそんな感じの場所でした!

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